離乳食がはじまると食物アレルギーの心配が出てきますよね。でも「よく聞くけど詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか。今回は食物アレルギーとは一体どういうものなのかということと併せて、予防策や気をつけることについてもお伝えしていきます。
食物アレルギーとは?
食物アレルギーとは、食べ物に対する過剰な免疫反応のことで、原因となる食材を食べてから(もしくは触れてから)2時間以内(食べた直後から30分間が多い)に皮膚・粘膜・消化器・呼吸器にアレルギー症状が現れます。
通常であれば、食べ物が消化・吸収されても反応はありませんが、免疫機能等に何かしらの問題があると、ある特定の食べ物を「体にとって害のあるもの」として排出しようとします。そのときの反応がアレルギー症状として起こります。
現在、重篤な症状や症例数によって「特定原材料」として28品目が指定されていて、0歳児の場合、鶏卵が最も多く、鶏卵・牛乳・小麦で9割を占めています。
食物アレルギーの症状は?
アレルギーの症状は人それぞれです。約9割が皮膚症状となりますが、人により消化器官や呼吸器系に症状が出る場合や、複数の症状が重なってアナフィラキシーという重い症状が出る場合もあります。
アレルギー症状が出たときや、様子が変だなと感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。命に関わりますので、自己判断で済ませないようお気をつけください。
消化器官の症状
下痢や嘔吐をする・腹痛がおこるなど
粘膜の症状
目が充血する、目が腫れる、くしゃみや鼻水がでる、口の中に違和感がでるなど
皮膚の症状
湿疹やじんましんが出る・全身がむくむ、皮膚が赤くなる・唇が腫れるなど
呼吸器の症状
せきをする・息をするとゼーゼーやヒューヒューと鳴る・呼吸困難になるなど
特定原材料28品目とは?
アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を含む食品は「特定原材料」として指定されていて、現在28品目が対象となっています。
この28品目の中でも、アレルギー発症数やその重篤度に差があることから、食品表示基準で表示が義務付けられているものと、表示が推奨されるものの2つに分かれます。また、近年ナッツ類のアレルギーが増えていることから、特定原材料に準するものにアーモンドが追加されました(2019年9月)。
表示推奨になっているものについても、アレルギーの症状は人それぞれです。命に関わる場合もありますので、はじめて食べるものについては必ず少量を与えて様子を見ましょう。
【7品目】 | 特定原材料表示義務あり | えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ) |
【21品目】 | 特定原材料に準ずるもの(推奨されている) | 表示義務なしアーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン |
- アレルギーの表示義務はどういったものが対象?
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箱・袋に入れられたものや、缶・瓶詰めされたものなどの「容器包装された食品」全てが対象です。
- アレルギーの表示義務が対象外となるものは?
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小売店で作ったようなお弁当やパンなどの店頭での対面販売や、外食の料理については対象外となります。
はじめての食材を口にするとき気をつけることは?
はじめて食べるもの、とくに特定原材料を口にするときには以下のことをメモしておくことをおすすめします。もし症状が出てしまった場合に、原因となる食材が何なのかを特定するためです。また医療機関にかかった際にも聞かれますので、忘れてしまう前にメモしておきましょう。
はじめての食材を食べる前
- 食べたもの
- 食べた量
- 食べた時間
アレルギーと思われる症状が出たとき
- 症状
- 症状が出た箇所
- 症状が出るまでの時間
- 症状が出てから治まるまでの時間
予防する方法はある?
スキンケア(保湿)を丁寧にする
乾燥はお肌のバリア機能を低下させ、外部からの刺激を受けやすくなります。また、異物が侵入しやすい環境を作ってしまいますので、生まれた時から保湿を徹底し、ツルツルのお肌を保つようにしましょう。
乳児湿疹はアレルギーではありませんが、乳児湿疹によってアトピー性皮膚炎になりやすいというデータが出ています。
アトピー性皮膚炎になると食物アレルギーを発症しやすく、続いて小学校に入る前くらいに気管支喘息が、中学校に入る頃にはアレルギー性鼻炎が、と次々に症状が出てくることがあります。これを「アレルギーマーチ」といい、アレルギーになりやすい体質の方は成長していく中で悩まされ続けることになります。
アレルギーマーチの状態に陥らないためにも、まずはアトピー性皮膚炎にならないようにする必要があります。それを予防するには乳児湿疹ができる前からのスキンケアがとても重要なのです。
離乳食を始める時期を遅らせない
アレルギーを心配して離乳食の開始時期を遅らせても予防にはならないため、遅らせる意味はありません。むしろ逆で、摂取を遅らせることによってアレルギーのリスクが高まることが近年になってわかっています。
なるべく早めの時期から食べ始めて慣れさせることが重要ですので、成長に合わせて正しく進めていただくのがベストです。ただし、お肌や口の周りなどに湿疹が出ている場合は、食べたものによって出ているアレルギー反応なのか、それともただの湿疹なのか見分けがつかなくなるため、離乳食開始前に医療機関で相談して、お肌の状態を整えてから始めましょう。
原因となりそうな食材を避けない
アレルギーが心配だからと、自己判断で原因となりそうな食材を避けることはやめましょう。摂取を遅らせることでリスクになる場合もありますし、栄養バランスが崩れ、発育に悪影響を及ぼす場合もあります。成長に合わせて正しく進めることが大切です。
なお、月齢によってまだ食べられない食材もありますので、いつから食べさせられるのかを事前に確認しておきましょう。また、医師に相談の上、除去すべき食材が指示されている場合は必ず避けてください。
いつか治るの?
乳児期に発症したアレルギーは治りやすいものと治りにくいものがありますが、乳幼児期に多い鶏卵・牛乳・小麦については3歳までに5割、小学校就学までに7、8割程度が治るといわれています。
それ以外の食物アレルギーについては治りにくい傾向があり、ピーナッツで1、2割程度が自然に治ると考えられています。なお、専門医のもとで治療することが前提となりますので、自己判断で解決しようとすることは避けましょう。
最後に
いかがでしたか?「食べたいものを自由に食べられる」それは当たり前のことのようで、アレルギーに悩む方にとってはとても難しいことです。でも、食物アレルギーへの理解を高め、適切に対処することで予防ができたり、進行を緩やかにすることもできます。この記事がお子様の健やかな成長を願うママパパのお役に立てば嬉しいです。